積まずに読みたい!

ミステリを中心とした読書メモ。時々、コミックもあり。

彩雲国物語―朱にまじわれば紅



刊行順に買っていたら、これは、外伝であった。
4編収録。
5巻目の終わりが、あんな形だったので、これは、ほっと一息つけた。
笑ったり、ほろりとしたり、切なくなったり。
特に、大笑いせずにはいられない『お見舞い戦線異状あり?』は、最高。
風邪で寝込んだ秀麗のもとに、次々とお見舞いがやってくるが、とんだ騒動になる。
著者は、ほんとにコメディセンスがある。
懐かしきどたばたコメディ少女マンガを髣髴とさせる面白さ。
秀麗の亡き母君の人となりも妙に気になる。

彩雲国物語―漆黒の月の宴



シリーズ第5弾。
サブタイトルのつけ方がいつもおしゃれ。イラストも素敵。
ストーリーは、4巻の続きで、秀麗一行が、茶州入りを目指すが、茶家の妨害工作にあう話。
茶春姫と茶克洵のお話でもある。
茶春姫の活躍は、爽快だが、こんな才能があったとは驚きだ。
秀麗の前には、危険な男・茶朔洵が再び現れる。
茶朔洵は、実際にいたら、鼻につくけど、イケメンファンタジー内では、超魅力的。
ただ、その魅力だけに頼って書いたとの印象は否めない。

闇の中の猫



タイトルもそそるし、ミステリ・フロンティアだし、なんたって、島田荘司の推薦だよ。
読まずにはおれまい。
著者の名前が、ちょっと前総理に似てるというのは、損な気がするが、この名前も、島田先生命名とか。

あらすじを読んで驚いた。

ドッペルゲンガーを見たという少女に頼まれ、その正体を探ろうとした矢先、会員制サイトの掲示板の書き込み通りに彼女が殺された。ミステリ愛好者が集うそのサイト“猟犬クラブ”はパスワード制で、第三者が簡単にのぞけるものではない。“キャット”と名乗る不気味な書き込みの投稿者は、果たして誰なのか?会員同士で互いの正体がわからないまま疑念だけが膨らむうちに、“キャット”による新たな書き込みと、それをなぞるかのような事件が再び起こる―。

猟犬クラブっていうミステリ愛好者が集うサイトって、ほんとにあったから。
クラブ名の由来も同じ。
私は参加していないし、現在はないけど。
だから、著者は、このサイトにかつて参加していた人かと思っちゃったよ。

で、内容はどうかと言うと、読むのがつらかった。
著者は現役のお医者さんらしいので、知識は豊富だろうが、ストーリーに面白みがない。
ミステリ好きみたいで、ミステリに関する記述は、好感が持てるが。
犯人も、ミステリファンなら、(動機はわからないけど、)見当がつくように思う。

薄味の新本格を読んだような気分になる。

でも、意外と、次回作がよかったりするかもしれない。今後に期待。

初恋ソムリエ



『退出ゲーム』(感想は、こちら。)でお気に入りになった初野晴の新作。
『退出ゲーム』の続編である。
装丁がまたまた女子高生。ジャケ買いする人も多そう。
中身は、期待が膨らみすぎたから、どうかなあと思っていたら、期待にたがわず、面白かった。
どちらかと言えば、こちらのほうが好みかもしれない。
ハルタの草薙先生への感情だけが鬱陶しいが。(こういう設定って、男性作家でもするのねー。)

「スプリングラフィ」
春休みの早朝、音楽室に侵入する人物は、一体誰なのか。
楽器に詳しいともっと楽しめそうな気がする。

「周波数は77.4MHz」
生徒会長の日野原が吹奏楽部の予算の上乗せの話を持ってきたが、交換条件として、地学研究会の部長・麻生美里を生徒会室に連れてくるように言われる。
地学研究会の設定が、興味深い。あまりリアルじゃないが。
途中ではさまれる不思議なラジオ放送の意味も謎。
そして、いろんな謎が最後に一気に収束するところに、カタルシスを感じる。うまい!
著者は、弱者に対して、とても優しい視線を持っているね。

「アスモデウスの視線」
冒頭から、引き込まれた。
「たかが席替え、されど席替え」
学生時代、誰しも心当たりがあるだろう。
席替えって、ほんと、大事なんだよ〜!!!
クラス替えはどうにもならないけど、席替えで生き返ることってあるからね。
私立・藤が咲高校吹奏楽部の顧問が自宅謹慎になった。謹慎になる前、 彼のクラスで、一ヶ月に席替えを三回も行ったという。席替えの理由も謹慎の理由も不明だ。
草薙先生が、藤が咲高校の吹奏楽部の助っ人に行ってダウンしたということで、チカたちの出番になるわけだが、他校に潜入?というのは、ちょっと漫画的。
だが、席替えの謎が解けたとき、細かい突っ込みどころは気にならなくなる。
真相解明後のチクリとした痛み、ゆるむ涙腺。
全く、泣かせのうまい著者だ。

「初恋ソムリエ」
寓話をうまく取り入れて、過去の初恋にからんだ真相が明らかになるお話。
清水南高校の初恋研究所 初恋ソムリエ朝霧亨の依頼者は、芹澤さんの伯母様だった。
初恋ソムリエというタイトルが秀逸。ノックアウトされるよね。
著者の題材選びのセンスを感じる。
恋と匂いは、本当に関係していると思う。
この短編を読んで、私も昔の匂いをかぎたくなったもの(笑)。
それは、先輩にもらった運動会のはちまき。
洗濯してアイロンがかかったそのブルーの布切れからは、いい香りがした。
洗剤の香りなのかもしれないけれど、私の知らない香りだった。
このネタは、これで終わりなのかな。
このソムリエくんには、ぜひぜひ、次回も登場して、いろんな初恋フェロモンを再現してほしいのだが。

 

彩雲国物語―想いは遙かなる茶都へ



シリーズ第4弾。
読み出したらとまらなくなってしまって。
ちょうどいい長さと読みやすさで、普段読んでいる本の半分以下の時間で読めちゃうし、満足度も高い。
今回は、国試同期合格者の杜影月と二人一緒に、茶州州牧に任命された紅秀麗。
静蘭と燕青、香蘭も一緒に旅することになったが、途中で襲われ離れ離れになってしまう。

波乱を含んだ展開だけど、ヒロインは、安全圏にいるという感じで、あまりハラハラしない。
ポイントは、静蘭と燕青の過去が明かされたことと、新たなイケメンの登場。
イケメンの正体、バレバレだよね〜。
それでも、更に先が読みたくなってしまう。
心が揺れるヒロインもかわいいが、まだまだ、これから気になる人が登場するのだろうか。

彩雲国物語―花は紫宮に咲く



シリーズ第3弾。
長年の夢を叶え、彩雲国初の女性官吏となった秀麗だが、周囲の反発は強く厳しい新人研修が待っていた。
相変わらず、秀麗は、まっすぐだなあ。
今回は、紅家の強さを見せつけられた感じ。爽快と言うか痛快と言うか。
なんだかんだで守られているヒロインなのだよなあ。
次々と出てくるイケメン軍団。秀麗逆ハーレム状態。
でも、それだけじゃない。ところどころに、いいセリフがちりばめてあるのね。
わかりやすくて、子供だましだと思いつつも、結構、熱いものを感じてる。
黎深と絳攸の話も、好き。

彩雲国物語―黄金の約束



第1巻を読んだのが、2006年の9月。
感想は、こちら
いたく気に入っていたわりには、2巻目を今頃読んでいる。
2巻目以降を数冊、手元に買っておいて、いつでも読めると思って満足してしまったパターン。
NHKで放送していたアニメも、録画したまま、たまっている。
今回、蔵書整理に当たって、積読本を片付けようと思って手を出した。
1巻のあらすじや登場人物を思い出しながら読み始めたが、すぐに世界に入り込めた。
新たな登場人物も加わり、読んでいて、とても楽しい。
仮面をかぶったまま仕事をする黄奇人なんて、興味津々だ。
ところどころに垣間見える著者のユーモアが、心地よい。
ヒロイン秀麗を取り巻くイケメンたちが乙女心をくすぐる。
細かい設定が、少女マンガ的で、ロマンティックで、にやついてしまう。
ちょっとできすぎなヒロインという気もするが、ふと見せる幼さや気弱さに、共感を覚える。
あっという間に読めて、ドキドキする展開を含み、時折、人生訓みたいなものが織り込まれていて、1コインでおつりがくる。
コストパフォーマンスよすぎ。
人気があるのが、わかる。

秘密(トップ・シークレット) 7



発売日に即買い。
ページをめくる手ももどかしい。
決して、軽い気持ちで読めるマンガじゃない。
悲しくて、苦しくて、やりきれなくなる。静かな怒りが湧き上がるのを感じる。
重厚さに打ちのめされる。
そんなマンガ。
今回は、外務大臣の娘の誘拐事件から始まる。
容疑者は自殺し、その脳が、第九に持ち込まれる。背景には、過去の国際的拉致事件が。

決して現実にあってはならないストーリーだが、マンガという架空世界を使って、政治や人の命の重さを考えるには、最適な傑作。
架空世界ではあるが、彼ら(ネタバレしないように漠然と書いている)が、今後、幸せな人生を送ることを本気で願わずにはいられないのであった。


瑣末なことだが、一つだけひっかかったことがある。(以下反転。)


外務大臣の奥さんの過去の行動が私には説得力がないんだけど・・・。




(以上反転終わり。)

まだ、このマンガを知らない人は、すぐに一巻から手にとってほしい。

星間商事株式会社社史編纂室



タイトルも装丁も地味なんだけど、中身は軽くて面白かった。

作品紹介には、

川田幸代。29歳。独身。腐女子(自称したことはない)。社史編纂室勤務。彼氏あり(たぶん)。仕事をきっちり定時内にこなし、趣味のサークル活動に邁進する日々を送っていた彼女は、ある日、気づいてしまった。この会社の過去には、なにか大きな秘密がある!……気づいてしまったんだからしょうがない。走り出してしまったオタク魂は止まらない。この秘密、暴かずにはおくものか。社史編纂室の不思議な面々、高校時代からのサークル仲間、そして彼氏との関係など、すべてが絡まり合って、怒濤の物語が進行する。涙と笑いの、著者渾身のエンターテインメント小説。幸代作の小説内小説も、楽しめます!

って、あるんだけど、腐女子って、既に一般用語になっているのだろうか。
私の周りでは、意味を知らない人が多くて、この本を読んだ知り合いから、「じゅびさんも、腐女子なの?」って聞かれて、ぶっとんでしまった。
「私は違いますよ。コミケに行ったこともないし。」と答えたが、なんだか、ひどく誤解された気がする。

さて、この分野は、三浦しをんのお得意とするところだろうが、だからこそ、濃密に描かずに、一般受けするようにさらっと描いているように思える。
オタク活動だけに焦点を当てるのではなくて、サークル仲間や彼氏との関係に、ある種の共感を抱かせるように書かれているのが、ポイント。

社史編纂室のメンバーもユニークだけど、会社とサリメニ共和国との関係などが、非現実的で、すべてがファンタジーみたいに思えてしまう。

ちなみに、小説内小説も、私には今いちだった。

三浦しをんならば、オタクもしくは腐女子を扱って、もっと違った作品が書けるのではないかと、今後に期待。

トーキョー・プリズン



『ジョーカー・ゲーム』で楽しませてくれた柳広司の作品。
『ジョーカー・ゲーム』を読まなかったら、たぶん手にとらなかっただろう。
巣鴨プリズンが舞台なんて、何となく腰が引けちゃうし。

物語は、戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵のフェアフィールドが、調査の交換条件として、囚人・キジマの記憶を取り戻す任務を命じられるところから始まる。
そして、フェアフィールドは、プリズン内で起きた服毒死事件の謎を追って行く。

キジマのキャラクターが非常に面白い。囚人なので、安楽椅子探偵のように、フェアフィールドに指示を出すところもいい。
ミステリとしての興味をつなぎながら、戦争という暗部を描いている。
ともすると、説明的になりがちなところだが、非常に読みやすいのは、著者の筆力だろう。
密室のトリックには、少々疑問が残るが、小さな謎と推理の過程がミステリ心をくすぐる。
しばらく、追いかけてみたい作家だ。

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プロフィール

Author:じゅび
ミステリが好き。
でも、面白いものなら何でも読みます。
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