2009-11

彩雲国物語―想いは遙かなる茶都へ



シリーズ第4弾。
読み出したらとまらなくなってしまって。
ちょうどいい長さと読みやすさで、普段読んでいる本の半分以下の時間で読めちゃうし、満足度も高い。
今回は、国試同期合格者の杜影月と二人一緒に、茶州州牧に任命された紅秀麗。
静蘭と燕青、香蘭も一緒に旅することになったが、途中で襲われ離れ離れになってしまう。

波乱を含んだ展開だけど、ヒロインは、安全圏にいるという感じで、あまりハラハラしない。
ポイントは、静蘭と燕青の過去が明かされたことと、新たなイケメンの登場。
イケメンの正体、バレバレだよね〜。
それでも、更に先が読みたくなってしまう。
心が揺れるヒロインもかわいいが、まだまだ、これから気になる人が登場するのだろうか。

彩雲国物語―花は紫宮に咲く



シリーズ第3弾。
長年の夢を叶え、彩雲国初の女性官吏となった秀麗だが、周囲の反発は強く厳しい新人研修が待っていた。
相変わらず、秀麗は、まっすぐだなあ。
今回は、紅家の強さを見せつけられた感じ。爽快と言うか痛快と言うか。
なんだかんだで守られているヒロインなのだよなあ。
次々と出てくるイケメン軍団。秀麗逆ハーレム状態。
でも、それだけじゃない。ところどころに、いいセリフがちりばめてあるのね。
わかりやすくて、子供だましだと思いつつも、結構、熱いものを感じてる。
黎深と絳攸の話も、好き。

彩雲国物語―黄金の約束



第1巻を読んだのが、2006年の9月。
感想は、こちら
いたく気に入っていたわりには、2巻目を今頃読んでいる。
2巻目以降を数冊、手元に買っておいて、いつでも読めると思って満足してしまったパターン。
NHKで放送していたアニメも、録画したまま、たまっている。
今回、蔵書整理に当たって、積読本を片付けようと思って手を出した。
1巻のあらすじや登場人物を思い出しながら読み始めたが、すぐに世界に入り込めた。
新たな登場人物も加わり、読んでいて、とても楽しい。
仮面をかぶったまま仕事をする黄奇人なんて、興味津々だ。
ところどころに垣間見える著者のユーモアが、心地よい。
ヒロイン秀麗を取り巻くイケメンたちが乙女心をくすぐる。
細かい設定が、少女マンガ的で、ロマンティックで、にやついてしまう。
ちょっとできすぎなヒロインという気もするが、ふと見せる幼さや気弱さに、共感を覚える。
あっという間に読めて、ドキドキする展開を含み、時折、人生訓みたいなものが織り込まれていて、1コインでおつりがくる。
コストパフォーマンスよすぎ。
人気があるのが、わかる。

秘密(トップ・シークレット) 7



発売日に即買い。
ページをめくる手ももどかしい。
決して、軽い気持ちで読めるマンガじゃない。
悲しくて、苦しくて、やりきれなくなる。静かな怒りが湧き上がるのを感じる。
重厚さに打ちのめされる。
そんなマンガ。
今回は、外務大臣の娘の誘拐事件から始まる。
容疑者は自殺し、その脳が、第九に持ち込まれる。背景には、過去の国際的拉致事件が。

決して現実にあってはならないストーリーだが、マンガという架空世界を使って、政治や人の命の重さを考えるには、最適な傑作。
架空世界ではあるが、彼ら(ネタバレしないように漠然と書いている)が、今後、幸せな人生を送ることを本気で願わずにはいられないのであった。


瑣末なことだが、一つだけひっかかったことがある。(以下反転。)


外務大臣の奥さんの過去の行動が私には説得力がないんだけど・・・。




(以上反転終わり。)

まだ、このマンガを知らない人は、すぐに一巻から手にとってほしい。

星間商事株式会社社史編纂室



タイトルも装丁も地味なんだけど、中身は軽くて面白かった。

作品紹介には、

川田幸代。29歳。独身。腐女子(自称したことはない)。社史編纂室勤務。彼氏あり(たぶん)。仕事をきっちり定時内にこなし、趣味のサークル活動に邁進する日々を送っていた彼女は、ある日、気づいてしまった。この会社の過去には、なにか大きな秘密がある!……気づいてしまったんだからしょうがない。走り出してしまったオタク魂は止まらない。この秘密、暴かずにはおくものか。社史編纂室の不思議な面々、高校時代からのサークル仲間、そして彼氏との関係など、すべてが絡まり合って、怒濤の物語が進行する。涙と笑いの、著者渾身のエンターテインメント小説。幸代作の小説内小説も、楽しめます!

って、あるんだけど、腐女子って、既に一般用語になっているのだろうか。
私の周りでは、意味を知らない人が多くて、この本を読んだ知り合いから、「じゅびさんも、腐女子なの?」って聞かれて、ぶっとんでしまった。
「私は違いますよ。コミケに行ったこともないし。」と答えたが、なんだか、ひどく誤解された気がする。

さて、この分野は、三浦しをんのお得意とするところだろうが、だからこそ、濃密に描かずに、一般受けするようにさらっと描いているように思える。
オタク活動だけに焦点を当てるのではなくて、サークル仲間や彼氏との関係に、ある種の共感を抱かせるように書かれているのが、ポイント。

社史編纂室のメンバーもユニークだけど、会社とサリメニ共和国との関係などが、非現実的で、すべてがファンタジーみたいに思えてしまう。

ちなみに、小説内小説も、私には今いちだった。

三浦しをんならば、オタクもしくは腐女子を扱って、もっと違った作品が書けるのではないかと、今後に期待。

トーキョー・プリズン



『ジョーカー・ゲーム』で楽しませてくれた柳広司の作品。
『ジョーカー・ゲーム』を読まなかったら、たぶん手にとらなかっただろう。
巣鴨プリズンが舞台なんて、何となく腰が引けちゃうし。

物語は、戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵のフェアフィールドが、調査の交換条件として、囚人・キジマの記憶を取り戻す任務を命じられるところから始まる。
そして、フェアフィールドは、プリズン内で起きた服毒死事件の謎を追って行く。

キジマのキャラクターが非常に面白い。囚人なので、安楽椅子探偵のように、フェアフィールドに指示を出すところもいい。
ミステリとしての興味をつなぎながら、戦争という暗部を描いている。
ともすると、説明的になりがちなところだが、非常に読みやすいのは、著者の筆力だろう。
密室のトリックには、少々疑問が残るが、小さな謎と推理の過程がミステリ心をくすぐる。
しばらく、追いかけてみたい作家だ。

mystery classics ブラウン神父編 4



ブラウン神父編も、もう4巻目。順調に出てくれていて、うれしい。
今回の作品は、これまでの中で一番面白かったかもしれない。収録作品のどれもすばらしい。
収録作品は、「ブラウン神父の秘密」より「大法律家の鏡」、「世界の中で一番重い罪」、「ポンド氏の逆説」より「目立たないのっぽ」。
そして、A・K・グリーン「第二の銃弾」、H・S・ハリスン「ミス・ヒンチ」。
もっとも、インパクトがあるのは、「ミス・ヒンチ」。
この読後感は・・・いや、ネタバレになるので書けない。
これは、原作を読まねばなるまいと思ったが、出展の「探偵小説の世紀(下)」(創元推理文庫)は、あいにく品切れのようだ。
海外古典ミステリ通の方には、有名な作品なのだろうが、知らずにいたことが悔しい。図書館で探してみるつもり。

ねずみ石



祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ―。中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」の最中に、道に迷って朝まで行方しれずだったのだ。同じ夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて、今でも未解決のまま。交錯する少年たちの想いが、眠っていたサトの記憶に触れたとき、事件は再び動き始める。瑞々しい青春推理長編の最新作。

面白かったー!一気読み。
まずは、「ねずみ石」の設定が秀逸。
うまく考えられていて、それを読んでいるだけで楽しいのだ。
こんな石が、自分の地域にもあったらいいなと思わせる。
そのねずみ石にからんで、著者には珍しい過去の惨殺事件ネタ。
刑事も出てきて、緊張感が高まる。
主人公が中学生というのもポイント。
事件に首を突っ込んで行く度合いが、中学生らしくなってる。
また、主人公をとりまく登場人物もいい。仲のいいセイ、修平との男の友情も、丁寧に描かれていて、仲のよさに、ちょっと妬けちゃうな。
脇役の登場のさせ方も自然になっている。
残念なのは、タイトルが地味でインパクトに欠けるところかな。

ジョーカー・ゲーム



「このミス」2位、2009本屋大賞3位、第62回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞、第30回吉川英治文学新人賞受賞。

スパイ養成学校“D機関”常人離れした精鋭たちを率いるのは、「魔王」−−結城中佐。
小説の醍醐味を余すところなく盛り込んだ極上のスパイ・ミステリー!


日本推理作家協会賞と吉川英治文学新人賞を受賞ということは、かなりの傑作だと思っていたが、あらすじを読むと、あまりひかれなくて、読むのが遅くなった。
連作短編集ということで、同じ主人公(スパイ)が活躍するのかと思ったら、そうではない。魔王と呼ばれる結城中佐が陰の主役として登場はするが、実際は、一編ごとに違う主人公だ。
そのため、ヒーローの目覚しい活躍に感情移入したり共感したりする類の小説ではない。
なのに、妙に惹かれる。妙に面白い。妙に心に刻まれる。

最初は、日本のスパイの描写に、コメディかと思うほどだったが、著者なりの揶揄なのかもしれない。
無駄なものをそぎ落としたクールな筆致が、横山秀夫を思い出させた。
読み終えるのが惜しいほど。本格ミステリー性とエンターテイメント性も両立させている。
続編も早く読みたい。

龍神の雨



油断してた。
道尾さんの作品だから警戒して読むべきだったのに・・・。
すっかり、騙されてしまった!
でも、真相がわかった瞬間のだまされた感は、結構気持ちがいいものだ。
伏線の張り方も、相変わらずだ。

外は雨、龍神の伝説にからませながら、進むストーリーは、深刻で暗い。
道尾さんお得意の複雑な背景の登場人物たち。
血のつながらない父と同居する兄妹と、同じく血のつながらない母と同居する兄弟。
どこまで特殊な設定なんだと突っ込みを入れつつも、サスペンスとして、ミステリとして堪能できる一冊。
人間を描きたい作家が今回描いたのは、家族の絆だった。
読み始めたらとまらないので、ご注意を。

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Author:じゅび
ミステリが好き。
でも、面白いものなら何でも読みます。
スパムがひどいので、コメント、TBは承認制としました。

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