完全恋愛
2008 / 09 / 14 ( Sun )
牧 薩次って、誰? 知らない作家だわと思ったら、大間違い、昔、夢中で読んだあの作家の別名義だった! 究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚ということで、読み応えは十分。 戦争末期から始まり、最後は平成の現在へ。まるで大河ドラマを見るような感じ。 時代設定が古いせいで、生きるトリックもあり、ミステリとしては、大満足。 だけど、恋愛部分はどうかな? 完全恋愛という意味がわかった瞬間、完全に騙されていた自分に気づく。 ああいう時代ならではの恋愛なんだろうけど、現代の感覚では微妙かも。 |
流星の絆
2008 / 09 / 06 ( Sat )
殺された両親の仇討ちを流星のもと誓った功一、泰輔、静奈の兄妹。 十四年後、泰輔が事件当日目撃した男に、功一が仕掛ける復讐計画。 誤算は、静奈の恋心だった。 昼ドラみたいなあらすじだな〜。 私は、東野さんのファンでもないけれど、読むと、巧いなあと感心してしまう。 この話も、ベタっていうか、タイトルからして昔の映画か演歌みたいで、帯の文句(あらすじが書いてある)がすべてって感じなので、特別なものは何もない。 でも、あっという間に読めて、展開が早くて、それなりに、ホロリときて終わる。 どうせこうなるのだろうとわかっていても、面白い。 読んだことを決して後悔させない。 だけど、『白夜行』みたいに心を揺さぶられる話も、また書いてほしい。 10月からドラマが放送されるらしい。脚本がクドカンなので、期待しているが、 兄妹たちの配役が、イメージと違った。 公式サイトによれば、以下のとおり。 有明功一 … 二宮和也 有明泰輔 … 錦戸 亮 有明静奈 … 戸田恵梨香 戸神行成 … 要 潤 |
平台がおまちかね
2008 / 08 / 30 ( Sat )
大崎梢の新シリーズ。「ミステリーズ!」に連載されていたもの。創元クライム・クラブから出ている。 出版社の新人営業の井辻くんが主役の連作短編集。 出版社の営業なんて、全く縁がないし、どんなものなのか、想像がつかなかったので、非常に新鮮な気持ちで読み始めた。 大好きな本が手元に届く過程で、作家がいて、編集者がいて、本屋さんがいて。そこまでは理解していたけど、出版社の営業がどのようにかかわってくるのか、興味津々。 出版社の営業が主役のミステリなんて初めてだよね? 井辻くんをいじるライバル大手の真柴くんも、楽しいキャラだ。 本屋シリーズも好きだけど、こちらのシリーズのほうが、著者が肩の力を抜いて、のびのびと書いているように思えた。余裕がでてきた感じ。 収録作は、『平台がお待ちかね』『マドンナの憂鬱な棚』『贈呈式で会いましょう』『絵本の神さま』『ときめきのポップスター』 どれも面白いけど、私が一番好きなのは、『平台がお待ちかね』かな。 町の小さな書店を訪ねた井辻くんがなぜか店長に冷たくあしらわれてしまう。店長の心の動きを追ったとき、自然と涙がこぼれそうに。 『マドンナの憂鬱』は、棚作りを頑張っている書店員さんへの応援歌に思えたし、仕掛け販売の陰で排除される本のもの悲しさも伝わってくる。 『贈呈式で会いましょう』は、華々しい受賞パーティの裏に潜む悪意が描かれている。 著者の創作に対する覚悟みたいなものがちょっとうかがえて、頼もしかった。 『絵本の神さま』では、地方の零細書店のことを取り上げていて、人情話でありながら、社会的な側面も忘れていない。 書き下ろしの『ときめきのポップスター』では、著者の本の好みが見えて、楽しい。 |
天才探偵sen 2 オルゴール屋敷の罠
2008 / 08 / 28 ( Thu )
児童書レーベルから出版の大崎梢のミステリ。天才探偵の千くんが活躍する第二弾。 副題は、「オルゴール屋敷の罠」。子ども向けだけに、ちょっとベタなタイトルだけど、中身は、大人もしっかり楽しめる。 今回は、転校生のヨコミーの依頼で、誰もないお屋敷から聞こえてくるオルゴールの音の謎を解き明かす。 オルゴール屋敷という設定が、わくわくするね。 オルゴールの博物館を取材しただけに、オルゴールに関するミニ知識も楽しい。そういえば、私も、昔、どこぞのオルゴール館に行ったっけ。 570円の中に、仕掛けや暗号が、詰まっていて、コストパフォーマンスよすぎだ。 おまけに、最後の最後まで気が抜けなかった。 ヨコミーの登場により、信太郎の出番が減ってしまったのが残念だけど、この枚数では仕方ないか。 |
果断―隠蔽捜査2
2008 / 05 / 30 ( Fri )
第21回山本周五郎賞受賞、第61回日本推理作家協会賞受賞。W受賞の話題作。 その割りに、話題になってないような気もするが。 前作 『隠蔽捜査』よりも、格段に面白かった。 前作で左遷されたキャリアの竜崎が赴任した大森署管内で起きた立てこもり事件。 現場で対立する捜査一課特殊班(SIT) とSAT。 SAT突入により、犯人射殺で事件は終わったかに見えたが…。 いけすかないヤツだった竜崎が、何だかとってもいい人、人間臭い人に見えてきた。家庭での言動はイラつくが、署内で腐ったしきたりをばっさり切る様子は、痛快この上ない。 事件の部分よりも、それに対峙する竜崎の思考、警察内部の人間ドラマ、妻の入院にたじろぐ竜崎の心の葛藤などに強くひきつけられる。 まだまだシリーズは続くのだろうか。脇役の造形がワンパターンにならないことを望む。 |
隠蔽捜査
2008 / 05 / 28 ( Wed )
第27回(2006年) 吉川英治文学新人賞受賞作。 著者の本を読むのは、何年ぶりだろう?『イコン』以来だ。 警察小説を、これほど書いていることは知らなかった。 タイトルから想像する警察小説とは、全く違う印象を抱く。横山秀夫でも大沢在昌でもない。 単なる犯人探しとも違う。 とにかく主人公の竜崎のキャラが強烈で圧倒される。主人公らしからぬ嫌なヤツなのだ。エリートキャリアであり、東大卒が最高だと思い込んでおり、家族のことは妻任せで父親失格の仕事人間。上司も部下も信頼していない。 感情移入のひとかけらもできないのだが、 仕事に対する確固たる信念には敬服する。 こんなキャリアがいたら・・・という著者の願望なのかもしれない。 隠蔽体質をもつ警察組織への批判も織り込みつつ、重くなりすぎない描写でエンターテイメント性を維持している。 |
ラットマン
2008 / 05 / 04 ( Sun )
第21回山本周五郎賞の候補作になっている。(発表は、15日) 干支シリーズの一作らしい。 ラットマンというタイトルの意味が生かされた非常にトリッキーな作品。 ラットマンというのは、ねずみにも人間にも見えるイラスト。人間の中にあるとおじさんに見えて、動物の中にあるとねずみに見える。一度、おじさんと認識してしまうと、二度とねずみには見えないという。 ミスリードの連続で、最後の最後まで気が抜けなくて、一気に読みきってしまった。面白かった。 ただ、登場人物のことを考えると、とても悲しくなった。 それと、人間描写が、いつもの道尾さんの作品よりも浅薄な気がしたんだけど、思い過ごしかな?登場人物の設定(過去とか背景とか)に少々、飽きがきているのかもしれない。 |
猫と針
2008 / 04 / 29 ( Tue )
昨年、キャラメルボックス2007チャレンジシアターvol.5『猫と針』として上演されたものの脚本。恩田陸の初戯曲である。 舞台は観たのだが・・・睡魔との戦いで、途中が抜けたような気がしたので、改めて文章で確認する意味で読む。 舞台を観たときも感じた「恩田陸っぽさ」を、再確認した形だ。 謎は面白いが・・・といういつものパターンである。 舞台では役者で判別できたが、本では、登場人物が、タナカ、スズキ、タカハシ、ヤマダ、サトウと平凡な名前なので、人物把握に時間がかかる。 書き下ろしの「『猫と針』日記」が読めたのは、よかった。 観劇直後に、心理サスペンス会話劇なら映画「キサラギ」のほうが面白いと思ったが、著者も、「キサラギ」を見ていたとのこと。中身が競合せずにほっとしたらしいが、競合していたら、面白かったのにと思った。 |
悪果
2008 / 04 / 23 ( Wed )
第138回直木賞候補作。 癒着、横領、隠蔽、暴力・・・日本の警察の暗部を描き出すノワールの傑作! とのこと。 舞台が大阪で、全編、大阪弁。 語り口はスピーディで、リアリティがあり、面白くないわけじゃないのですが、読むのに苦労しました。 一言で言えば、合わなかったということです。 著者の初期の作品は、結構読んでいるのですが。 |
ソロモンの犬
2008 / 03 / 14 ( Fri )
秋内たちクラスメイト4人は、大学で教わっている椎崎鏡子助教授のひとり息子・陽介がトラックに撥ねられる瞬間に偶然、居あわせる。哀しみの中、議論を重ねる彼らに衝撃の結末が……。 ミステリというより、青春ものに近いと聞いていたのですが、意外とミステリしてました。 著者の得意とする伏線オンパレードに、こちらの推理も暴走し、あれやこれや妄想がふくらみますが、真相は、予想外のところにありました。 犬の使い方とか、唸りましたね。 読後感は、今までの著作の中で一番よかったかもしれません。悲しい割りにさわやかで、くすぐったい感じ。 大学生に戻りたくなりました。 秋内の人気が高いようですが、私は、京也に興味を持ちました。 |














