博士の愛した数式
2006 / 01 / 27 ( Fri )
読売文学賞、本屋大賞を受賞したベストセラー。先に映画を見てしまい、慌てて原作を読む。 「数式」というタイトルに少々かたくるしさを感じ、ついつい後回しにしてしまっていた。本屋大賞ということで、エンターテイメント色が強いのかとも思ったが、そこは、芥川賞作家の小川洋子、純文学的な香りを漂わせながら、淡々と、美しい物語を紡いでいる。 事故の後遺症により、80分しか記憶がもたない博士と、その世話係として派遣されたシングルマザーの家政婦とその息子(博士によって、ルートと名づけられる)のふれあいの日々と言ってしまえば簡単だが、そのふれあいは、普通通りにはいかない。記憶を失ってしまう博士にとって、家政婦もルートも常に初対面の相手だからだ。 そんな3人を結ぶのは、博士が愛する数字、数式、そして野球だ。 数学って、本当は面白いもの、美しいものだったことを思い出させてくれる作品。授業で、そういうふうに教えてくれる先生は少ないけれど、中1のときの担任の先生が、そうだったなあと懐かしく思い出した。 また、たとえ、記憶が失われても、人間は、心を通わすことができるのだと思うと、涙がこみ上げてきた。そして、 偉大なルート記号のような人間になれたらいいなと思った。本屋さんが売りたいと思った気持ちがよくわかる。 ちなみに、映画の配役は、以下の通り。博士:寺尾聰、家政婦:深津絵里、子供時代のルート:齊藤隆成、大人時代のルート:吉岡秀隆、未亡人:朝丘ルリ子。多少脚色してあったが、原作の感動を大事に映像化してくれていた。 |
のだめカンタービレ14巻
2006 / 01 / 26 ( Thu )
14巻は、割とおとなしめ。すっかり忘れていた松田が出てきて、あまり好きじゃないキャラなんだけど、今回の使い方は、グッド!のだめと松田のご対面シーンは、おかしすぎて、大声で笑ってしまった。松田って、もっと若いと思ったら、36歳だったんだね。 千秋のオケは、大変そうだし、のだめのこれからも気になるところで終わっている。 次巻は、忘れないようにネット予約しておいたよ。限定版を。 |
少女には向かない職業
2006 / 01 / 25 ( Wed )
著者初の一般向けの作品とのこと。東京創元社HPには、「これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録」と紹介されている。 ふたりの少女、複雑な家庭環境、思春期の女の子グループの微妙な関係、異性を意識し始める年頃、そして、殺人。ああ、これは、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の大人向けバージョンなのかなと思った。 相変わらず、タイトルがうまい。少女の描き方もいい。いまどきの少女だけど、でも、少女は昔も今も同じ物質でできているから。 この人がすごいのは、すごいことをさらっと書くからだ。ぐだぐだ書いていたら、桜庭一樹じゃない。私はその文章の行間が、背景が、いつも怖くて怖くて仕方ない。(2005年読了本) |
長い長いさんぽ
2006 / 01 / 24 ( Tue )
これ、感想、書けない。「ゆず」のお話といえば、猫好きにはたまらないはずだけど、今回は・・・。 泣けて泣けてどうしようもなかった。読み終えて数日たっても、思い出し泣きしちゃった。ゆずと、うちの猫って似てるよねーって笑った日々が、懐かしい。 私が猫を飼い始めたのは数年前で、それまでは、猫と人間を同等に考えることはできなかった。でも、今では、家族の一人として、猫の存在が大きい。だから、著者とご主人の嘆きが、そのまま伝わってきて、どうしていいかわからなかった。 いつも、「私より先に死ぬなよ〜。」と猫に、からんでいる私だが、そんなこと、無理なのはわかっている。だけど・・・。 猫を飼うってことは、いろんな覚悟がいるってことだよね。ゆず、今まで、ありがとうね!ゆずのこと、忘れないよ。 |
夜のピクニック
2006 / 01 / 23 ( Mon )
友人たちと恩田さんの著作について話していたときに、みんなからすすめられたもの。 読み終えて、すすめられた意味がわかった。これは、ミステリじゃなくて、青春ものなのね。 高校生が、夜を徹して、80キロを歩きとおすという「歩行祭」。高校生活最後の大イベント。誰と歩くのか、何を話すのか、どんな思いを胸に秘めて歩くのか。 面白かった。ワクワクしながら、ドキドキしながら、自分も一緒に歩いているような気持ちになって、読める。最後のほうで、ある登場人物に「少女マンガかテレビドラマみたい」と言わせているように、登場人物も設定も、少女マンガ風ではあった。 恩田さんの出身高校の行事がもとになっていて、映画化も決定しているそうだ。 文化祭の準備とか夜の散歩とか、夜の行事は、昼間と違う何かを見せてくれるものだ。 余談だが、私は学生時代に経験した夜の山手線ハイクを思い出した。すっかり忘れていた甘く切なく苦い思い出がよみがえってしまい、まいった、まいった(^^;)。形の悪いおにぎりを作っていったことや、先輩がジャンパーを肩にかけてくれたこと、友人と世界の名作をあげるゲームをしたこと、翌日、徹夜明けでラグビー観戦に行ったこと、更には、誰と誰があやしかったとか、切なくなったり、はしゃいだり、落ち込んだり、逃げたり。この作品の中の彼らと同じだね。 夜のピクニック、誰と歩くかは、かなり重要だ。それによって、人生、決まるかもしれないぐらいにね。(2005年読了本)。 |
東京タワー
2006 / 01 / 21 ( Sat )
ベストセラーになっていることは知っていた。リリー・フランキーなんて一度聞いたら忘れない名前だし。泣けるという売りだった気がするが、泣けると聞いただけで、一歩引いてしまう自分がいた。 ところが、読み始めたら、ぐっと胸をつかまれてしまった。ページをめくる手がとまらなくなってしまった。 著者の小さいころの話に懐かしさが胸いっぱいに広がった。彼って、私と同世代なんだね。彼って田舎もんだったんだね。私も、東京に憧れて、上京してきた田舎もんなのだ。故郷に、親を残して出てきたんだ。 さまざまな出来事が語られる中に、突然挿入される独白のような真理のような文章が、心に響く。飾りじゃない、きれいごとじゃない、率直な文章。うまいなあ。やめてよ、涙が出そうじゃない。我慢して我慢して辛うじて、涙は抑えた。だけど、心の中では号泣していた。 リリーさんに惚れてしまいそうだった。そして、リリーさんのオカンに無性に会いたくなってしまった。 私にもいつか、母との別れがくるだろうなあと漠然とした恐怖を感じつつ、読み終えた。 陳腐な言い方だけど、この本を読んで、忘れ去られた日本人の心みたいなものを思い出してほしいなと思った。 |
容疑者Xの献身
2006 / 01 / 18 ( Wed )
昨日発表された第134回直木賞受賞作品。おめでとうございます、東野さん。6度目の正直ですね。 ちなみに、私が読んだのは、昨年12月。まだ感想をアップしてなかったので。 あらすじは、書かないほうがより楽しめると思うので割愛。とにかく、読んでみて下さい。ミステリを日頃読まない方々にも、ぜひ読んでいただきたい作品です。 ネットミステリ界では、これが本格かどうかの議論がされているらしいのですが、難しすぎて、私にはついていけません。どちらにせよ、この作品がすばらしいものであることは確かです。 緻密なミステリを堪能し、真相に驚かされた上に、人間の極限の愛の物語に心打たれます。涙は出ませんでしたけど。ラストがあのようになって、よかったと思いました。 もしも、私が直木賞選考委員だったら(ありえませんが)、『白夜行』のほうにとらせてあげたかったですね。 読後の感動の度合いからすれば、『白夜行』には及びませんでした。(2005年読了本) |
青空の卵
2006 / 01 / 16 ( Mon )
帯には、「名探偵はひきこもり」と書いてある。前々から気になっていたひきこもり探偵シリーズ。 保険会社に勤める坂木司の友人、鳥井真介はひきこもりで、坂木が持ち込む話を推理していくという安楽椅子探偵風ミステリの連作短編集だ。 ひきこもりという言葉だけで私が抱いていたイメージと、物語の鳥井真一は、随分違うものであった。そして、坂木と鳥井の関係が、これまた奇妙というか・・・不思議なのだ。 この関係は、読者を選ぶと思うし、推理は少しこじつけっぽいところもあるが、それが、嫌じゃないぐらいこの小説は、心地よく読める。と同時に、読んでいて、心が痛くて仕方なくなる。 坂木と鳥井、そして、坂木ワールドのほかの登場人物も含めて、これから、どうなっていくのか気になるので、続編も読むつもり。(2005年読了本) |
カーの復讐
2006 / 01 / 15 ( Sun )
ミステリーランドの一冊。カーって、てっきり、ディクスン・カーだと思ってた。二階堂さんだし。 でも、これは、怪盗ルパンが活躍するお話。小学生のころ、図書館で、南洋一郎のルパンを借りて読みふけっていたことを思い出した。ミステリ好きな大人にとっては、懐かしさを感じる作品だ。 怪盗ルパンは、ホルスの眼というお宝を盗むために、ボーバン博士に近づこうとするが、博士の城に送り込んでいた老婆が殺される。どうやら、お城では、謎のミイラ男が出没し、お嬢さんが狙われたらしい。 タイトルの「カー」とは、生霊の意味であった。アクションあり、密室の謎あり、不気味なミイラありで、楽しく読めるが、大人には、犯人がすぐにわかってしまうかもしれない(^^;)。舞台は外国だが、ルパンテイストというより、乱歩テイストたっぷりなので、日本が舞台でもよかったなあなんて思った。喜国さんのイラストも、素敵。(2005年読了本) |
もやしもん
2006 / 01 / 04 ( Wed )
科学マンガでもあり、ギャグマンガでもあり、農大マンガでもあり、青春マンガでもあります。 ちょっとだけ『動物のお医者さん』テイストを感じます。 菌が見えてしまう沢木が主人公。幼馴染みの結城とともに、東京農大に入学。あやしい指導教授や院生の女王様やマニアックな先輩たちと出会い、菌をめぐるさまさまな出来事に首を突っ込むことになります。 一巻で、いきなり、気持ちの悪いものが出てきて、うっときましたが、それを乗り越えれば、あとは、笑ったり、感心したり。菌たちが、集まって、騒いでいる様子が、とてもかわいく、親しみを感じます。自分の生活のあちこちに(顔や肌にも)菌がついているのだなあと改めて認識します。 2巻では、農大祭の様子も描かれ、楽しめます。このマンガを読むと、本当においしい日本酒を飲んでみたいなあと思うようになります。(現在2巻まで読了) |
摩天楼の怪人
2006 / 01 / 03 ( Tue )
島田荘司も、御手洗潔も、健在だった! 「ありえなーい!」と心で突っ込みつつ、次々と出てくる謎の豪華絢爛オンパレードにくらくら。広げた大風呂敷をどうするのか、確かめたくて、続きを読まずにはいられなかった。こんなにも、いろいろなトリックを惜しげもなく使ってしまい、もったいない気も(笑)。 久々の御手洗潔の活躍に心躍り、ラスト近くの冒険には、ドキドキして、手に汗を握った。ミステリとロマンがほどよく融合された島田節に酔いしれた。島田好きにはおすすめ。友田星児の美しいCGイラストレーションも、効果的であった。(2005年読了本) |
となり町戦争
2006 / 01 / 02 ( Mon )
第17回小説すばる新人賞受賞作であり、第133回直木賞候補作品。 ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。しかし、戦争の実感が持てない僕。それでも、戦死者は着実に増えており、僕は、役所から偵察業務に任命される。 戦争が起こっているのにリアルさを感じられないという設定は、現在の日本人のノーテンキさを皮肉っているのか?深いメッセージを持った小説なのかもしれないが、主人公と女性の描き方などが、どうしても、村上春樹を思い出させ、そればかりが気になって、物語に集中できなかった。主人公の上司の主任の話をもっと読みたかった気もする。この人も、ハルキチルドレンと呼ばれる人なの?(2005年読了本) |
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