サウスバウンド
2006 / 04 / 28 ( Fri )
奥田英朗が直木賞を受賞したとき、まだ早いのでは?と思ったが、あのとき賞を与えたのは大正解だったと今更ながら思った。 面白かった。500ページ以上の長編なのに、夜が更けるのも忘れて一気に読んでしまった。 第一部の舞台は東京。小説の冒頭、いきなり「中野ブロードウェイ」が出てくる。主人公の二郎は、中野ブロードウェイを通学路とする小学6年生だ。友達と漫画を立ち読みしたり、誕生会に呼ばれたり、不良に目をつけられたりと、小学生の日常もいろいろある。おまけに、父親は元過激派で、仕事をしていない。学校や役所にいちゃもんをつけてばかりで、二郎の悩みの種だ。 読みながらノスタルジックな気分になった。自分の子供のころを思い出しながら二郎と一緒に悩みながら、読んだ。父親のキャラは強烈で、担任の先生にからんだりするところは嫌な感じで、二郎がかわいそうになるが、それでも憎みきれない。 続く第二部の舞台は、西表島だ。都会とのギャップに呆然とする二郎と妹の桃子。電気も通ってない廃屋に住むことになる。このあたりは、ドラマ「北の国から」を想起させる。 西表島に引っ越してからの父親の姿を見て、二郎の父親を見る目がだんだん変わっていく。そして、二郎自身も、変化していく。 第一部も第二部も、派手な事件を描いているが、それは読んでからのお楽しみということで。超おすすめ! |
エンド・ゲーム 常野物語
2006 / 04 / 26 ( Wed )
私は、恩田陸の作品の中で、『光の帝国』が一番好きだ。常野物語シリーズの最初の短編集だ。その中に、「オセロ・ゲーム」という話があって、その続編が、この本なのだ。 『光の帝国』のあと、『蒲公英草紙』が出るまでが長かったので、更に待たされるかと思っていたが、意外に早くシリーズ最新長編を読むことができ、喜びいさんで、読み始める。 「裏返す」「裏返される」など独特の言葉を使い、迷宮へいざなう恩田節。洗濯屋も登場し、一体、どんな解決が待っているの?と期待も最高潮へ達したが・・・。 このシリーズだけは、追い続けようと思っているのだが。 |
暴れん坊本屋さん2
2006 / 04 / 24 ( Mon )
待望の第二弾。二冊目って、意外と難しいと思うけど、こちらは、絶好調。一巻よりも更にパワーアップしていて、私はこちらのほうが、好きかな。 詳しく書いてしまうと、これから読む方の楽しみを奪ってしまうので、やめておくが、とにかく手にとってみてほしい。 嘘みたいな雑誌のタイトル、ふろくの話、返品、使えない検索、美本、図書券など、ネタは尽きない。本屋さんにとっても、利用者にとっても、身近で面白い話題ばかりだ。著者のサイン会の話もよかった。サイン会なんて、あったのね。行きたかったなあ〜。 |
ハルカ・エイティ
2006 / 04 / 21 ( Fri )
第134回直木賞候補作。著者の作品は、『整形美女』しか読んだことがなかったが、面白かった覚えがある。 こちらは、ハルカさんという1920年生まれのモダンガールの半生を描いたものだ。著者の伯母がモデルらしい。 私は、古い時代の話が好きだが、読んでいる間、退屈で仕方なかった。学生時代の話はまだしも、結婚したり、就職したり、浮気したりしている間は、つまらなかったのだ。 ハルカさんは、魅力的な女性なんだと思う。なのに、その魅力が余り伝わってこない。ハルカさんを通して、著者は何を伝えたかったのかな? 直木賞選考委員の選評もかんばしくない。巻末の著者略歴に、「作品ごとにテーマ、文体を変え、ジャンルを超えて作品を発表している」とあったので、たぶん、ほかにもっと面白い作品があるに違いない。 |
サルバドールの復活
2006 / 04 / 12 ( Wed )
前作『飛蝗の農場』の解説で、こちらの作品を知ったときから、絶対面白いに違いないと思って翻訳されるのを楽しみにしていた。ところが、早読みのミステリ好きの方々の評判が、賛否両論。しばらく積んでおいたが、このたび、チャレンジしてみた。 ゴシックロマンと聞いていたので、勝手に古い時代の話かと思ったら、現代ものなのね。携帯電話もちゃんとあるし。フランク・ザッパとかエリック・クラプトンのほか、サイモン・ル・ボンの名前も出てきて、うれしかったわ。 「レベッカ」のようなゴシックロマンに青春小説をプラスして、更に、寓話、作中小説、日記などを挿入して、独特の読み物になっている。ごった煮の魅力という感じかしら。ゴタゴタしている割に読みやすくて面白いので、物語としては、十分楽しめるが、ミステリとしては、どうかなあ?いちいち、意味を考えずに読んじゃったけど。 特に、最後は、開いた口がふさがらないというか、これを書きたいために、こんなに長く書いていたのかと思うと、脱力する。映画化したら、エロ映画になりそうだと思った。 |
死神の精度
2006 / 04 / 05 ( Wed )
伊坂作品は、まだ半分ほどしか読んでいないが、今までで一番面白かったかも。イコール、一番、伊坂さんらしくない作品だったと思う。 死神が、一週間の猶予をもらい、対象となる人間に近づき調査する。そして、「可」(=死ぬ)か「見送り」の判断をし、報告するという設定の連作短編集。出会う相手は、冴えないOL、やくざ、雪の山荘に閉じ込められた人たち、片思いの男性、逃走する少年、年老いた美容師など。 死神のずれた感覚や、音楽好きなところ、雨男のところなど細かい部分の描写は面白いが、ストーリー自体は、ベタな感じ。だから、万人受けするのかな。 ちなみに、第57回日本推理作家協会賞 短編部門を受賞している。第134回直木賞候補作でもある。 |
新宿二丁目ウリセン物語
2006 / 04 / 03 ( Mon )
お芝居『bambino』(3/29-4/16 シアター・サンモール)の原作ということで読んでみた。 新宿二丁目で、男性相手に体を売るボーイたちのお話をお店のマスターが書いたもの。お芝居が面白くて、ほろりとさせられたので、原作にも期待をする。 ウリセンボーイの実態はわかったし、いろんな客がいてびっくりするし、世の中には、まだまだ知らない世界があるのだと思う。更に、ボーイ達を見守るマスターの思いも伝わったが、お芝居ほど感動的に描かれていないので、印象が薄かった。 続編も出ている。
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