赤朽葉家の伝説
2007 / 12 / 31 ( Mon )
第137回直木賞候補作、第60回日本推理作家協会賞受賞、「このミス2008」第2位。 メディアでも多く扱われ、かなり話題になった。 真っ赤な表紙が印象的である。読んでいる間、ずっとこの赤のイメージがつきまとった。 鳥取の旧家・赤朽葉家の三代の女(千里眼の祖母、漫画家の母、何者でもない私)の物語である。 大河ドラマのような、朝ドラのような。 ときどき、「華麗なる一族」を思い出しながら、楽しく読んだ。 第一部は、赤朽葉万葉の千里眼や友人の兄のエピソードがミステリアスで面白い。第二部は、レディースの赤朽葉毛毬の豪胆ぶりが痛快であるとともに、描く漫画の世界がおかしすぎて笑いっぱなしだった。第三部が少しおとなしめだったかな。 著者の物語をつむぐパワーには圧倒されるし、突っ走るように読んだが、読後は、あまり心に残るものがなかった。 これまでの作品と足して2で割ったら、ちょうどいいような気がした。 (追記:2008年本屋大賞にノミネートされました。) |
作家別索引さ行
2007 / 12 / 31 ( Mon ) ●斎藤美奈子
趣味は読書。 ●酒井順子 負け犬の遠吠え ●坂木司 青空の卵 ●桜庭一樹 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない GOSICK―ゴシック 少女には向かない職業 青年のための読書クラブ 赤朽葉家の伝説 私の男 荒野 ●佐藤賢一 王妃の離婚 ●佐藤多佳子 一瞬の風になれ ●重松清 流星ワゴン ●獅子宮敏彦 砂楼に登りし者たち ●篠田真由美 魔女の死んだ家 ●島田荘司 透明人間の納屋 Pの密室 魔神の遊戯 帝都衛星軌道 ●島本理生 ナラタージュ ●朱川湊人 花まんま ●殊能将之 子どもの王様 ハサミ男 ●庄司薫 赤頭巾ちゃん気をつけて ●小路幸也 東京バンドワゴン ●白石一文 どれくらいの愛情 ●新保信長 笑う入試問題 ●杉浦日向子とソ連編 そば屋で憩う ●瀬尾まいこ 幸福な食卓 ●瀬戸川猛資 夜明けの睡魔 |
天才探偵sen公園七不思議
2007 / 12 / 30 ( Sun )
著者初の児童書。 イラスト担当の久都りかさんも、元書店員とか。表紙絵よりも、中の挿絵のほうが生き生きしていて素敵です。 児童書に関しては門外漢なので、これが、児童書レーベルで出たのが、不満でもあるんですが(^^;)、中身は、大人レベルなんですよ。 悔しいけれど、面白い。 主人公の天才探偵・渋井千くんは、小学6年生。かわいげのないところが、私にはかわいいです。大人の美人に弱いところも更に魅力的。 天才とは言え、子どもなので、子どもの視点になって推理しなければいけないわけで、そのあたりをうまくクリアしているところに、著者の力量を感じます。 シリーズ化するのでしょうか。千くんの幼馴染の信太郎くんと香奈ちゃんも、人気が出そうですね。 七不思議のネタがとても面白いので、大人向けのレーベルで出しても、十分評価されたと思います。 不満といえば、児童書だけに、タイトルの「天才探偵」というのが、何とも照れくさいですね。 |
片耳うさぎ
2007 / 12 / 29 ( Sat )
本屋シリーズではない作品。かわいらしい装丁にひかれる。 中身は、著者の好きな横溝テイストがたっぷりで、なおかつ、宣伝POPに書いてあったように乙女チックでもある。 本屋シリーズは、安定した面白さだったけど、こちらは、ちょっと不安だった(^^;)。 が、それは杞憂に終わる。 むしろ、本屋ネタにとらわれず、自由に書いている気がした。 主人公・奈都は小学校6年生。引っ越してきた父の実家は、古くて大きなお屋敷で、しかも不吉な言い伝えがある。奈都が頼ったのは、ひとりの謎めいた女子中学生。 田舎の家とか大きなお屋敷って、それだけで怖い。怖いけど、好奇心に負けて探検してみたくなる。 お屋敷の様子と片耳うさぎの謎がとてもうまく描かれていて、ドキドキ、ワクワク、ビクビク。 まるで、本当にお屋敷に取り残されたような不安感が押し寄せてきて、主人公を一生懸命応援していた。 登場人物の描きわけも、はっきりしている。 早く真相が知りたくて、ページを急いでめくったが、もっとゆっくりと楽しめばよかったかもしれない。 これ、映像化にも向いているんじゃないかな。 |
青年のための読書クラブ
2007 / 12 / 28 ( Fri )
舞台は、東京お嬢様学校・聖マリアナ学園。校内の異端者が集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密のクラブ誌があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、記録されていた。 女子高出身で、読書クラブや演劇部にも縁があったので、非常に懐かしい思いで読む。 ここまで、エキセントリックではないけれど、女子高特有の雰囲気を知る私には、面白くもあり、苦笑いする場面もあり。 コミカルな中に、教養の香り漂うところが、桜庭さんらしい。 5つのエピソードの中では、最初の2編「烏丸紅子恋愛事件」と「聖マリアナ消失事件」が、特に好き。 |
玻璃の天
2007 / 12 / 27 ( Thu )
第137回直木賞候補作。 本命と言われながら…。 令嬢と女性運転手のベッキーさんが謎を解決する『街の灯』の続編です。 昭和初期が舞台になっていて、3編収録されています。 とても丁寧に時代を描いていて、読者は好奇心を刺激されます。 教養と機知にあふれた文章は、心地よく、心にしみこんできます。 前作よりも重いテーマを扱っており、主張性も強くなっているので、読んでいて、居住まいを正されるような気がします。 ただ、そこに嫌味を感じさせないのは、北村さんのやわらかな筆致のおかげでしょう。 最後に収録された表題作では、胸をしめつけられるような過去が明かされ、今後が気になる終わり方となっています。 さて、作品としては大好きですが、シリーズの二作目というのが受賞には不利だったのかもしれません。 もちろんシリーズものでも、受賞した作品がありますし、選評もそのような記述はありませんが。 候補作に恵まれないとか、ベストなのかという選評がありましたが、読者としては、 「じゃあ、今までの直木賞は、どうだったのですか?」と突っ込みたくなりました。 文藝春秋社も、よく考えて、候補作品を決めてほしいと思いました。 |
サイン会はいかが?
2007 / 12 / 26 ( Wed )
ファン待望のシリーズ第三弾。今度は、第一作同様、連作短編。 長編を余り気に入らなかったファンも、これには、大満足のはず。 取り寄せや付録にまつわる5つの謎を収録。 取り寄せについても、付録についても、目からウロコの話ばかり。 そうだったんだ!と関心しながら、最後には、ウルウルさせられてしまう。 中でも、表題作は、サイン会を舞台にしたかなりの力作。 サイン会大好きな私としても、うれしい題材ではあるが、いつも読者としてしかサイン会を意識してなかったので、書店側の大変さを認識させられた。 何事も、裏方あっての成功なのよね。 このごろ、書店員がもてはやされて、疑問に思うこともあるけれど、現場の人たちは、地味な重労働に耐えて頑張っているということを、忘れずにいたいと思う。 また、特別付録として作中でも出てくる「成風堂通信」が、はさまれていた。 こういうの、懐かしい!手書きのところが心憎い。 著者の特別掌編も乗っていて、楽しい。 それにしても、大崎梢には、ネタ切れってないのかしらん? |
晩夏に捧ぐ
2007 / 12 / 26 ( Wed ) こちらは、2006年に読了していたが、感想をアップしていなかったので。 本屋シリーズ第二弾。今度は、長編。 印象的なタイトルと部屋に飾りたいような風景写真の装丁。 一作目が気に入った方は、かなり期待して手にとったでしょうね。 今回は、成風堂から飛び出して地方の書店が舞台。ふるさとに帰って書店に勤めるかつての同僚から、杏子のもとに一通の手紙が届く。勤務先の老舗書店に幽霊が出るようになり、店が存亡の危機に立たされているとのこと。多絵とともに信州の高原へ。そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死にまつわる謎だった。 おお!杏子と多絵が、出張か〜。しかも、田舎の書店に幽霊なんて、おいしすぎるネタ。ほのぼの路線から少しシリアスなスパイスも加味されて、事件解決への期待が高まる。 ただ、初めての長編ということで、若書きの感は否めない。 日常の謎と違い、大掛かりな謎を扱うことは、難しい。そこに書店をからめるとなおさらだ。 それでも、素人探偵の限界を踏まえつつ、ミステリアスな雰囲気を損なわず、まとめる力は認められる。 本屋シリーズではない長編への期待を抱かせる作品になったことは、間違いない。 また、この人に書店を描かせたら、ピカイチだ。 そして、本屋に対する愛情にあふれているところも変わってない。 シリーズ第三弾も決まっているようで、今から楽しみだ。 |
風が強く吹いている
2007 / 12 / 25 ( Tue )
直木賞受賞第一作。第4回本屋大賞第3位。 佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」と一緒に友人に貸したら、どちらも、気に入ってくれた。彼女のお母様も絶賛してたそうで。 高校時代、名ランナーとして活躍しながら陸上界から離れ東京の寛政大学へ進んだ走(かける)は、4年生の灰二(ハイジ)からボロアパートへの入居を勧められる。灰二の野望は、この竹青荘に住む陸上未経験者が大半の10人で、翌年の箱根駅伝を目指すことだった。 年々、箱根駅伝の報道が派手になっていて、うんざりする一方、真摯に走る学生達の姿は、心に訴えるものがある。 そして、この小説の面白さと言ったら! 読み終えて、チクショー!三浦しをん、巧すぎる!と心の叫びを上げてしまった。 たった10人で、しかもほとんど素人で、夢どころか、無謀としか思えない計画なのだが、その夢物語を信じさせてくれる何かがこの本にはあるのだ。 ハイジみたいなヤツがいたら、どんなことでも叶いそうな気がしてくるのだ。 10人のキャラクターも、描きわけがしっかりして、魅力的だ。 本番のレース場面では、走りの描写ともに、個々の内面も描かれる。 走ること=生きることに通ずるような文言が何回も出てきて、そのたびに頷いていた。 ありえない話かもしれない。でも、小説は、こうでなくちゃという王道的なストーリー。 友人は、ハイジみたいな上司がいたら、もっと頑張れそうと言っていた(^^;)。 |
チーム・バチスタの栄光
2007 / 12 / 24 ( Mon )
第4回「このミス」大賞受賞作。単行本が出たのは、2006年1月。 評判はよかったし、2006年の「このミス」にランクインしてもおかしくないほどの面白さと聞いていたので、気にはなっていた。(「このミス」大賞受賞作は、「このミス」投票作品から除外されるというのが、何とももったいないというか、皮肉な話である。) 逆に、情報が入りすぎたのが、触手を伸ばす妨げになったとも言える。登場人物が、奥田英朗の作品のキャラクター”伊良部”に似ているという話も聞いていたので、伊良部シリーズが好きなので、ちょっと敬遠していたのだ。 このたび、映画化も決まったということで、読んでみた。 読みやすさと面白さの見事な融合。ああ、もっと早く読んでいればよかった。 医療関係の説明も、私がたまたまドラマ「医龍」を見ていたせいもあって、すんなりと入ってくる。バチスタ・チームに関する記述などは、「医龍」に出てくるものと同様なのだ(当たり前だが)。 キャラクターも絶賛されているが、非常に魅力的なコンビだと思う。白鳥のエキセントリックさが、伊良部シリーズを彷彿とさせるのであろうが、私は、似ているとは思わなかった。 主役コンビだけでなく、病院長や看護師など、妙にリアリティを感じるのは、著者が現役医師というだけでなく、文章力があるせいだろう。 医療ミステリとしても評価するが、人間の苦悩も描いているところに共感を覚えた。 余談だが、漢字にふりがなが少ないのも、特徴的。(これは、宝島社の方針なのか?) 不満が二点。 映画化にあたって、主役を男性コンビでなく、男女ペアにしてしまったこと。 この薄さで上下巻にしたこと。 とは言え、続編も、バンバン出ているので、しばらく追いかけようと思う。 |
インシテミル
2007 / 12 / 23 ( Sun )
かわいらしい表紙に似合わず、いや〜な話でした。 いわゆるクローズドサークルのミステリなのですが、設定からして、嫌な感じがします。 時給11万2千円というあやしい求人広告にひかれて、集まった12人が、「暗鬼館」で、7日間を過ごすことを命じられます。あてがわれた客室には、それぞれ凶器が用意されていました。 ミステリのためのミステリみたいなお話で、読んでいてうんざり…と思っていたのですが、読み出すと先が気になって仕方がないのです。 古典ミステリに出てくる凶器の話題があり、著者のマニアックさを再認識するともに、こういう謎解きを楽しんでしまうミステリ読みの性のようなものを感じました。 はっきり言って、面白かったです。 ただ、再読はしたくないですね。 途中で、緊迫した文章が、急に崩れるところがあり、それが救いになっているとも言えますし、恐怖感を削いでいるとも言えます。 |
ぐるぐる猿と歌う鳥
2007 / 12 / 09 ( Sun )
久しく、加納朋子の著作を読んでなかった。最後に読んだのは、「てるてるあした」かな? ミステリーランドは、全作読むつもりなので、手にとる。 結論から言うと、非常に面白かった。久々に、加納朋子の本を楽しめてうれしかった。 主人公のシンをはじめ、北九州で出会う社宅の子どもたちが魅力的だ。ココちゃん、あや、竹本兄弟、パック。 私は、転校もしたことがないし、社宅にも住んだことがないが、子ども達の描写を読んでいると、自分の小学時代の友達の思い出と重なったりして、しみじみとした思いにとらわれた。 謎が謎だけに、これは、きっとファンタジーに違いないと思いながら読んだのに、きちんと解決されたときには、爽快感を覚えた。 シンと佐藤くんとシンのおばあちゃんのエピソードがすごくいい。 そして、最後に、あとがき「私がこどもだったころ」を読んで、泣けた。加納朋子という作家が無性にいとおしくなった。 |
NO.6〔ナンバーシックス〕#6
2007 / 12 / 08 ( Sat )
刊行ペースが遅いので、先が気になって仕方がない。 ようやく、矯正施設の地下深くへ辿りついた紫苑とネズミを待ち受けていたのは…。 老と呼ばれる人物、敵意をむき出しにするサソリ。老から、聞かされた恐ろしい過去。 核心に迫ってきたが、更なる謎も出てきて、一筋縄では解決しない模様。 人間関係も複雑になってきている。続きが出るまで、この緊迫感が持続しない(^^;)。 今回は、作者のあとがきがなかったのが残念。 |
作家別索引国内は行
2007 / 12 / 01 ( Sat ) ●畠中恵
百万の手 まんまこと ●はやみねかおる ぼくと未来屋の夏 ●半村良 どぶどろ ●日影丈吉 応家の人々 真赤な子犬 移行死体 孤独の罠 女の家 内部の真実 多角形 ●東野圭吾 白夜行 容疑者Xの献身 流星の絆 ●姫野カオルコ ハルカ・エイティ ●深堀骨 アマチャ・ズルチャ ●福井晴敏 亡国のイージス 終戦のローレライ Op.ローズダスト ●福田和也 作家の値うち ●福田隆浩 熱風 ●藤沢周 さだめ ●藤沢周平 蝉しぐれ ●藤原正彦 国家の品格 ●古川日出男 ベルカ、吠えないのか? ●保坂和志 猫に時間の流れる ●本多孝好 MISSING ●本の雑誌社 新 恋愛小説読本 |
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