果断―隠蔽捜査2
2008 / 05 / 30 ( Fri )
第21回山本周五郎賞受賞、第61回日本推理作家協会賞受賞。W受賞の話題作。 その割りに、話題になってないような気もするが。 前作 『隠蔽捜査』よりも、格段に面白かった。 前作で左遷されたキャリアの竜崎が赴任した大森署管内で起きた立てこもり事件。 現場で対立する捜査一課特殊班(SIT) とSAT。 SAT突入により、犯人射殺で事件は終わったかに見えたが…。 いけすかないヤツだった竜崎が、何だかとってもいい人、人間臭い人に見えてきた。家庭での言動はイラつくが、署内で腐ったしきたりをばっさり切る様子は、痛快この上ない。 事件の部分よりも、それに対峙する竜崎の思考、警察内部の人間ドラマ、妻の入院にたじろぐ竜崎の心の葛藤などに強くひきつけられる。 まだまだシリーズは続くのだろうか。脇役の造形がワンパターンにならないことを望む。 |
隠蔽捜査
2008 / 05 / 28 ( Wed )
第27回(2006年) 吉川英治文学新人賞受賞作。 著者の本を読むのは、何年ぶりだろう?『イコン』以来だ。 警察小説を、これほど書いていることは知らなかった。 タイトルから想像する警察小説とは、全く違う印象を抱く。横山秀夫でも大沢在昌でもない。 単なる犯人探しとも違う。 とにかく主人公の竜崎のキャラが強烈で圧倒される。主人公らしからぬ嫌なヤツなのだ。エリートキャリアであり、東大卒が最高だと思い込んでおり、家族のことは妻任せで父親失格の仕事人間。上司も部下も信頼していない。 感情移入のひとかけらもできないのだが、 仕事に対する確固たる信念には敬服する。 こんなキャリアがいたら・・・という著者の願望なのかもしれない。 隠蔽体質をもつ警察組織への批判も織り込みつつ、重くなりすぎない描写でエンターテイメント性を維持している。 |
ヘルマフロディテの体温
2008 / 05 / 27 ( Tue )
本屋でぱっと目を引く表紙。聞いたことのない作者だ。 プロフィールを見ると、 翻訳業を経て、イタリア語で小説を発表。本書『ヘルマフロディテの体温』で、2007年に第一回ランダムハウス講談社新人賞優秀賞に輝く。 富士見書房より同じくナポリを舞台にした『最後のプルチネッラ』を同時刊行。 とある。 妙に気になってしまい、読み始めたが…。 舞台はナポリ。 真性半陰陽(ヘルマフロディテ)の大学教授、年老いた女装街娼、去勢された男性歌手など、謎めいていて官能的なお話が始まるが、余りハマれなかった。 テーマの割りに、あっさりしていて、全く官能的なものを感じることができなかった。 薄いギリシャ神話みたいな感触。 もう1作も読むつもりだけど、果たしてどうかな? |
秘密(トップ・シークレット)4巻
2008 / 05 / 25 ( Sun )
待ちに待った4巻。表紙の美しさにうっとり。 アニメもスタートしましたが、結構がっくりきています(^^;)。清水玲子さんの美しいイラストが、あんなふうになってしまった上に、重い内容が浅薄に描かれていたので…。 さて、本編ですが、非常に考えさせられる事件でした。 自分ならどうするか?見て見ぬふりはしないと思うけど、家族には、見て見ぬふりをしても安全でいてほしいという勝手な思いもあるわけで。 また、事件にかかわる捜査側の人間の心情が丁寧に描かれていて、ウルっときました。 いつにもまして、青木がよかったですね。 そして、特別編で描かれた薪の姿に心が痛みました。 |
チーズスイートホーム5巻
2008 / 05 / 24 ( Sat )
とうとう、アニメ化ですね。朝の早い時間帯であり、録画するほどの時間でもないので、つい見逃してしまいます。 今回は、家族とのからみが少なくて、チー単独か、猫たちとの交流が中心です。チーがかわいくて仕方ありません。 チーが、みゃーと口を開けた姿に、癒されています。 少しずつでいいから、ずっと続いてほしいマンガです。 |
mystery classics ブラウン神父編 3
2008 / 05 / 11 ( Sun )
3月にルパン編が出て、早くも4月にブラウン神父編とは、うれしい限りですね。 収録作は、ブラウン神父もの2編「天の矢」「顎ひげの二つある男」。 そして、安楽椅子探偵の草分け隅の老人もの2編「リージェント・パークの殺人」「ダートムア・テラスの悲劇」 (バロネス・オルツィ『隅の老人の事件簿』より)。 このシリーズを知ったときに、隅の老人も漫画化しないかなと切望していたんですよ! 今回の収録作は、甲乙つけがたい面白さで、超おすすめです。 余談ですが、私が初めて読んだミステリは、ジュブナイル版の「バスカヴィル家の犬」でした。 そして、初めて読んだミステリ原作漫画は、「まだらの紐」でした。親戚の家に転がっていた青年誌に掲載されていて、あの音と紐が非常に怖かったことを覚えています。(絵はさいとうたかをだったような気もしますが、記憶が定かではありません。) 幼いころに、ジュブナイルや漫画で、ミステリに出会えたことは、幸せなことであり、今の私の読書ライフに大きな影響を与えていると思います。 |
mystery classics アルセーヌ・ルパン編 2
2008 / 05 / 09 ( Fri )
待望のシリーズの新刊です。 初めて、帯つきで購入できました。帯には、「古典を侮るなかれ!」とあります。そうそう、その通りであります。 ルパンものの2編「太陽の戯れ」(『ルパンの告白』より)、「十二枚の株券」(『バーネット探偵社』より)と、トマス・W・ハンシュー「ライオンの微笑」とガストン・ルルー「ノトランプ」が収録されています。 四十面相クリークが登場する「ライオンの微笑」は、有名なトリックが使われていますが、マンガにすると、より恐怖感が増します。 花婿が次々と謎の死を遂げる「ノトランプ」も、怖かったです(;_;)。 |
ラットマン
2008 / 05 / 04 ( Sun )
第21回山本周五郎賞の候補作になっている。(発表は、15日) 干支シリーズの一作らしい。 ラットマンというタイトルの意味が生かされた非常にトリッキーな作品。 ラットマンというのは、ねずみにも人間にも見えるイラスト。人間の中にあるとおじさんに見えて、動物の中にあるとねずみに見える。一度、おじさんと認識してしまうと、二度とねずみには見えないという。 ミスリードの連続で、最後の最後まで気が抜けなくて、一気に読みきってしまった。面白かった。 ただ、登場人物のことを考えると、とても悲しくなった。 それと、人間描写が、いつもの道尾さんの作品よりも浅薄な気がしたんだけど、思い過ごしかな?登場人物の設定(過去とか背景とか)に少々、飽きがきているのかもしれない。 |
再婚生活
2008 / 05 / 03 ( Sat )
直木賞を受賞する以前から、山本文緒が好きで、よく読んでいました。 このところ、新刊が出ないなと思っていたら、うつ病になって大変な苦労をされていたんですね。 この本は、その生活を赤裸々に綴った日記です。 再婚したご主人(王子と呼ぶのが、違和感ありましたが、実際そう呼んでいるらしいです)に支えられながらも、つらい日々を過ごします。 読んでいて、いたたまれなくなります。 作家・山本文緒の日記ではなくて、普通の女性の日記です。そこが、かえって心に響いてくるのです。 仕事も順調で、マンションも買い、再婚もして恵まれすぎていると言われたこと、一生懸命元気を装うと、元気そうと言われ、複雑な思いになったこと、当日にならないと起きられるかどうかわからなくて、ドタキャンばかりで、とうとう約束もしなくなってしまったこと・・・。 一つ一つのエピソードが大事なメッセージを伝えています。 誰もがうつ病になる可能性があり、誰もが、うつ病の家族を支える可能性があることを再認識しました。 |
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