ふがいない僕は空を見た



高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。



山本周五郎賞受賞、 R-18文学賞受賞、本屋大賞2位。

2010年に単行本で出た時から、タイトルは知っていた。
が、なぜか、ミステリーだと思っていた。
作者は若い男性で、いま流行りのミステリーだと思い込んでいた。
映画化されたのも知っていた。
タイトルがちょっとイケてると思ってた。

が、まさか、こんな話だったとは思わなかった。

冒頭の『ミクマリ』が R-18文学賞受賞作品である。
審査員は誰だったのだろうか。
確かにこの短編はエロくていやらしくて、汚らしいが、それだけじゃない。

それを見抜いた選考委員の眼力に敬服する。
調べてみると、山本文緒、角田光代、唯川恵の3氏だった。

そういえば、読みながら、山本文緒のある作品を思い出した。
読んでいて、心が痛い、揺さぶられるという意味では、山本文緒っぽさも感じた。

そして続く『世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸』は、『ミクマリ』に出てきたコスプレ主婦が姑に不妊治療を迫られる話で、
これもまた痛い。
リアル過ぎて、泣けてくる。

『2035年のオーガズム』『セイタカアワダチソウの空』『花粉・受粉』も、それぞれ視点が変わり描かれているが、
どれも、どうしようもなく痛くて悲しくて仕方がない。
最後はもうあふれ出る涙がとまらなくなってしまった。

単純に救いや癒しがあるとは言えない作品だが、かと言ってそこにあるのは、絶望じゃない。
なんだろ、空を見上げてみればいいのかな・・・そしたら生きていけるのかな、前に進めるのかな、そんな気がした。

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

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Author:じゅび
ミステリが好き。
最近は読書ペースが落ちています。

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