視力をなくし、一人暮らしのミチルの家に、殺人犯として追われているヒロアキが逃げ込んできた。身を守るために気づかない振りをするミチル。極力気配を消すヒロアキ。奇妙な同棲生活が始まったが…というのがあらすじ。
設定だけ読むと、昔の土曜ワイド劇場を思い出してしまったり、映画「暗くなるまで待って」みたいな展開になるのか?と想像が先走るのだが、ぜーんぜん違う。ミチルとヒロアキの心の動きが丁寧に語られ、いつしか二人にいとおしさを感じ始めている自分に気づく。
乙一という作家は、どうして、こんなに孤独を描くことがうまいのか?心の中に、孤独が雪のように深々と降り積もってゆく。そして、乙一の魔法でいつしか溶けてゆく。これからも、乙一から目が離せない。
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最終更新日 : 2020-05-26