切羽へ
2008 / 09 / 07 ( Sun )
4104731021切羽へ
井上 荒野
新潮社 2008-05

by G-Tools

第139回直木賞受賞作。
候補作になる前に、新聞の書評で読んでいたので、気になっていた。
以前、候補作になった『ベーコン』が気に入ったから。

長崎県の炭鉱の島・崎戸を舞台にした恋愛小説。
小さな島で、画家の夫と暮らす小学校養護教諭のセイ。夫婦仲はよいが、東京からやってきた若い男性教師・石和に、セイはひかれていく。

恋愛小説といっても、セイ自身に劇的なことは起きない。
セイの周りで小さな事件はあっても。
だからこそ、リアルさを感じる。
セイの心の動きは、身近な人にわかってしまうが、それでも、何事もなかったように、暮らしていく。
これが、夫婦というものなのだろうか。
セイが石和を好きになる気持ちがわかるようなわからないような。

小さな島で暮らす閉塞感は、耐え難いものだと想像するが、淡々と描かれているので、思いのほか明るく感じる。

タイトルの「切羽」はトンネルの一番先の意味。トンネルがつながるとなくなってしまう。

余談だが、「高円寺の古本屋と居酒屋をあわせたような店」という記述があって、コクテイルを思い出した。
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