悪果
2008 / 04 / 23 ( Wed )
第138回直木賞候補作。 癒着、横領、隠蔽、暴力・・・日本の警察の暗部を描き出すノワールの傑作! とのこと。 舞台が大阪で、全編、大阪弁。 語り口はスピーディで、リアリティがあり、面白くないわけじゃないのですが、読むのに苦労しました。 一言で言えば、合わなかったということです。 著者の初期の作品は、結構読んでいるのですが。 |
ソロモンの犬
2008 / 03 / 14 ( Fri )
秋内たちクラスメイト4人は、大学で教わっている椎崎鏡子助教授のひとり息子・陽介がトラックに撥ねられる瞬間に偶然、居あわせる。哀しみの中、議論を重ねる彼らに衝撃の結末が……。 ミステリというより、青春ものに近いと聞いていたのですが、意外とミステリしてました。 著者の得意とする伏線オンパレードに、こちらの推理も暴走し、あれやこれや妄想がふくらみますが、真相は、予想外のところにありました。 犬の使い方とか、唸りましたね。 読後感は、今までの著作の中で一番よかったかもしれません。悲しい割りにさわやかで、くすぐったい感じ。 大学生に戻りたくなりました。 秋内の人気が高いようですが、私は、京也に興味を持ちました。 |
遠まわりする雛
2008 / 02 / 16 ( Sat )
表紙だけでドキドキする素敵な装丁。東京創元社のミステリ・フロンティアっぽいと思ったら、同じ方の装丁だった。 大好きな古典部シリーズ第4弾。連作短編集。 収録作は、「やるべきことなら手短に」「大罪を犯す」「正体見たり」「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」の7編。 「心あたりのある者は」は、第60回日本推理作家協会賞短編部門候補作となった。(この回受賞作なし) てっきり、前作の続きかと思って読み始めて、違和感を覚える。 登場人物がよそよそしい? よくよく読めば、時系列的には、これまでの長編の前であったり、中間であったり、後であったり。 で、非常に好評の短編集だったようだが、私的には、なぜか、イライラしながら読んでしまった。 前作『クドリャフカの順番』では、あんなに盛り上がっていたのに、なぜかのめりこめなかった。 複雑な気持ちになった。これまでの3作品を読み返してみたくなった。 特にイライラしたのは、「手作りチョコレート事件」と「遠まわりする雛」。 こういう展開、あまり読みたくなかったな〜。 人間関係に拘泥して、ミステリに集中できなくて、消化不良状態。 |
赤朽葉家の伝説
2007 / 12 / 31 ( Mon )
第137回直木賞候補作、第60回日本推理作家協会賞受賞、「このミス2008」第2位。 メディアでも多く扱われ、かなり話題になった。 真っ赤な表紙が印象的である。読んでいる間、ずっとこの赤のイメージがつきまとった。 鳥取の旧家・赤朽葉家の三代の女(千里眼の祖母、漫画家の母、何者でもない私)の物語である。 大河ドラマのような、朝ドラのような。 ときどき、「華麗なる一族」を思い出しながら、楽しく読んだ。 第一部は、赤朽葉万葉の千里眼や友人の兄のエピソードがミステリアスで面白い。第二部は、レディースの赤朽葉毛毬の豪胆ぶりが痛快であるとともに、描く漫画の世界がおかしすぎて笑いっぱなしだった。第三部が少しおとなしめだったかな。 著者の物語をつむぐパワーには圧倒されるし、突っ走るように読んだが、読後は、あまり心に残るものがなかった。 これまでの作品と足して2で割ったら、ちょうどいいような気がした。 (追記:2008年本屋大賞にノミネートされました。) |
天才探偵sen公園七不思議
2007 / 12 / 30 ( Sun )
著者初の児童書。 イラスト担当の久都りかさんも、元書店員とか。表紙絵よりも、中の挿絵のほうが生き生きしていて素敵です。 児童書に関しては門外漢なので、これが、児童書レーベルで出たのが、不満でもあるんですが(^^;)、中身は、大人レベルなんですよ。 悔しいけれど、面白い。 主人公の天才探偵・渋井千くんは、小学6年生。かわいげのないところが、私にはかわいいです。大人の美人に弱いところも更に魅力的。 天才とは言え、子どもなので、子どもの視点になって推理しなければいけないわけで、そのあたりをうまくクリアしているところに、著者の力量を感じます。 シリーズ化するのでしょうか。千くんの幼馴染の信太郎くんと香奈ちゃんも、人気が出そうですね。 七不思議のネタがとても面白いので、大人向けのレーベルで出しても、十分評価されたと思います。 不満といえば、児童書だけに、タイトルの「天才探偵」というのが、何とも照れくさいですね。 |
片耳うさぎ
2007 / 12 / 29 ( Sat )
本屋シリーズではない作品。かわいらしい装丁にひかれる。 中身は、著者の好きな横溝テイストがたっぷりで、なおかつ、宣伝POPに書いてあったように乙女チックでもある。 本屋シリーズは、安定した面白さだったけど、こちらは、ちょっと不安だった(^^;)。 が、それは杞憂に終わる。 むしろ、本屋ネタにとらわれず、自由に書いている気がした。 主人公・奈都は小学校6年生。引っ越してきた父の実家は、古くて大きなお屋敷で、しかも不吉な言い伝えがある。奈都が頼ったのは、ひとりの謎めいた女子中学生。 田舎の家とか大きなお屋敷って、それだけで怖い。怖いけど、好奇心に負けて探検してみたくなる。 お屋敷の様子と片耳うさぎの謎がとてもうまく描かれていて、ドキドキ、ワクワク、ビクビク。 まるで、本当にお屋敷に取り残されたような不安感が押し寄せてきて、主人公を一生懸命応援していた。 登場人物の描きわけも、はっきりしている。 早く真相が知りたくて、ページを急いでめくったが、もっとゆっくりと楽しめばよかったかもしれない。 これ、映像化にも向いているんじゃないかな。 |
玻璃の天
2007 / 12 / 27 ( Thu )
第137回直木賞候補作。 本命と言われながら…。 令嬢と女性運転手のベッキーさんが謎を解決する『街の灯』の続編です。 昭和初期が舞台になっていて、3編収録されています。 とても丁寧に時代を描いていて、読者は好奇心を刺激されます。 教養と機知にあふれた文章は、心地よく、心にしみこんできます。 前作よりも重いテーマを扱っており、主張性も強くなっているので、読んでいて、居住まいを正されるような気がします。 ただ、そこに嫌味を感じさせないのは、北村さんのやわらかな筆致のおかげでしょう。 最後に収録された表題作では、胸をしめつけられるような過去が明かされ、今後が気になる終わり方となっています。 さて、作品としては大好きですが、シリーズの二作目というのが受賞には不利だったのかもしれません。 もちろんシリーズものでも、受賞した作品がありますし、選評もそのような記述はありませんが。 候補作に恵まれないとか、ベストなのかという選評がありましたが、読者としては、 「じゃあ、今までの直木賞は、どうだったのですか?」と突っ込みたくなりました。 文藝春秋社も、よく考えて、候補作品を決めてほしいと思いました。 |
サイン会はいかが?
2007 / 12 / 26 ( Wed )
ファン待望のシリーズ第三弾。今度は、第一作同様、連作短編。 長編を余り気に入らなかったファンも、これには、大満足のはず。 取り寄せや付録にまつわる5つの謎を収録。 取り寄せについても、付録についても、目からウロコの話ばかり。 そうだったんだ!と関心しながら、最後には、ウルウルさせられてしまう。 中でも、表題作は、サイン会を舞台にしたかなりの力作。 サイン会大好きな私としても、うれしい題材ではあるが、いつも読者としてしかサイン会を意識してなかったので、書店側の大変さを認識させられた。 何事も、裏方あっての成功なのよね。 このごろ、書店員がもてはやされて、疑問に思うこともあるけれど、現場の人たちは、地味な重労働に耐えて頑張っているということを、忘れずにいたいと思う。 また、特別付録として作中でも出てくる「成風堂通信」が、はさまれていた。 こういうの、懐かしい!手書きのところが心憎い。 著者の特別掌編も乗っていて、楽しい。 それにしても、大崎梢には、ネタ切れってないのかしらん? |
晩夏に捧ぐ
2007 / 12 / 26 ( Wed ) こちらは、2006年に読了していたが、感想をアップしていなかったので。 本屋シリーズ第二弾。今度は、長編。 印象的なタイトルと部屋に飾りたいような風景写真の装丁。 一作目が気に入った方は、かなり期待して手にとったでしょうね。 今回は、成風堂から飛び出して地方の書店が舞台。ふるさとに帰って書店に勤めるかつての同僚から、杏子のもとに一通の手紙が届く。勤務先の老舗書店に幽霊が出るようになり、店が存亡の危機に立たされているとのこと。多絵とともに信州の高原へ。そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死にまつわる謎だった。 おお!杏子と多絵が、出張か〜。しかも、田舎の書店に幽霊なんて、おいしすぎるネタ。ほのぼの路線から少しシリアスなスパイスも加味されて、事件解決への期待が高まる。 ただ、初めての長編ということで、若書きの感は否めない。 日常の謎と違い、大掛かりな謎を扱うことは、難しい。そこに書店をからめるとなおさらだ。 それでも、素人探偵の限界を踏まえつつ、ミステリアスな雰囲気を損なわず、まとめる力は認められる。 本屋シリーズではない長編への期待を抱かせる作品になったことは、間違いない。 また、この人に書店を描かせたら、ピカイチだ。 そして、本屋に対する愛情にあふれているところも変わってない。 シリーズ第三弾も決まっているようで、今から楽しみだ。 |
チーム・バチスタの栄光
2007 / 12 / 24 ( Mon )
第4回「このミス」大賞受賞作。単行本が出たのは、2006年1月。 評判はよかったし、2006年の「このミス」にランクインしてもおかしくないほどの面白さと聞いていたので、気にはなっていた。(「このミス」大賞受賞作は、「このミス」投票作品から除外されるというのが、何とももったいないというか、皮肉な話である。) 逆に、情報が入りすぎたのが、触手を伸ばす妨げになったとも言える。登場人物が、奥田英朗の作品のキャラクター”伊良部”に似ているという話も聞いていたので、伊良部シリーズが好きなので、ちょっと敬遠していたのだ。 このたび、映画化も決まったということで、読んでみた。 読みやすさと面白さの見事な融合。ああ、もっと早く読んでいればよかった。 医療関係の説明も、私がたまたまドラマ「医龍」を見ていたせいもあって、すんなりと入ってくる。バチスタ・チームに関する記述などは、「医龍」に出てくるものと同様なのだ(当たり前だが)。 キャラクターも絶賛されているが、非常に魅力的なコンビだと思う。白鳥のエキセントリックさが、伊良部シリーズを彷彿とさせるのであろうが、私は、似ているとは思わなかった。 主役コンビだけでなく、病院長や看護師など、妙にリアリティを感じるのは、著者が現役医師というだけでなく、文章力があるせいだろう。 医療ミステリとしても評価するが、人間の苦悩も描いているところに共感を覚えた。 余談だが、漢字にふりがなが少ないのも、特徴的。(これは、宝島社の方針なのか?) 不満が二点。 映画化にあたって、主役を男性コンビでなく、男女ペアにしてしまったこと。 この薄さで上下巻にしたこと。 とは言え、続編も、バンバン出ているので、しばらく追いかけようと思う。 |












